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第17回Xupper事例紹介セミナーレポート/VisualJapan基調講演


山田 徳廣 氏

Xupper IIを設計情報の共有基盤としてベトナムでのオフショア開発を推進 

書店向けのPOSシステムで豊富な実績を持つビジュアルジャパン。同社では、書店の活性化に向けた自社製品/サービスの開発力強化のために、ベトナムでのオフショア開発に取り組んでいる。オフショア先との設計情報共有やドキュメントの受け渡しはどのように行っているのか?コストや品質を含め、オフショア開発を成功させるにはどうすればよいのか?同社代表取締役の山田篤廣氏が紹介した。


導入事例PDFファイル

 書店活性化のためのインフラ整備と自社の開発体制改善に向けて

 ビジュアルジャパンでは、2002年より書店向けPOS システム「WEBPOS for BOOKSTORE」をASP 型のサービスとして提供開始。複合商材を扱う大型書店などのニーズに応え、2009年からは、CD/DVD、中古商品の取り扱いや、会員管理にも対応したメディア複合店向けサービス「WEBPOS for MEDIASTORE( 以下、MEDIASTORE)」も展開している。同社のPOSシステム導入実績は約3500台にのぼり、実に国内書店の約25%が利用しているという。


 しかし、近年の書店を取り巻く状況は非常に厳しく、出版物の売上・書店数ともに年々減少傾向にある。同社では2010 年の時点で、書店ビジネスは「今後5年間、ますます難しくなる」という予測のもと、その厳しい環境の中で生き抜く書店をサポートするインフラとして、自社のサービスをより強力かつ柔軟なものに刷新していくべきと考えていた。しかし、当時は約40 名の体制で完全自社開発・自社運用を行っており、すでに既存のサービス提供やメンテナンス対応においても要員が不足、新たな開発に取り組む余力がないのは明らかだった。


 そこで、同社代表取締役の山田氏は、以前より自社の課題と捉えていた開発体制の改善を図ることを決断。開発リソースを上流工程に集中するとともに、オフショア開発への移行を進め、組織変革によってビジュアルジャパン全体としての開発力・開発スキルを強化することとした。


段階的にベトナムでのオフショア開発を推進

 オフショア開発の委託先には、ベトナムの現地企業を選定。このオフショア先との間で設計情報の共有基盤として活用されているのが、Xupper II だ。


 実は、ビジュアルジャパンではベトナムでのオフショア開発がスタートする数年前にXupper II を導入していたのだが、当時は現場に定着しなかったという。そのため、オフショア開発プロジェクトにおいては、山田氏主導のトップダウンでXupper II の利用を徹底。ただし、現状の業務には適用せずに、新機能の追加など新しいプロジェクトでのみ活用するルールとした。


 オフショア開発の最初のステップとしては、MEDIASTORE の買掛管理モジュールを対象に、現行システムからの仕様リバースを依頼。最終的な目的は、VB(Visual Basic)で作られたそのモジュールの.NET 化であったが、用意できるドキュメントが古いマニュアルしかなかったため、3 万ステップ程度のソースコードを渡して、実質的に仕様のリバースから取りかかってもらう流れとなった。


 次のステップでは、リバースした仕様をベースにVBから.NET への言語移植を実施。そのまま移植するのではなく、新しいGUI や機能の実装、不要な機能の削除なども含む作業となったが、ソースコードをチェックした同社の開発者が「これだけレベルの高いソースを書くとは思っていなかった」と驚くほど、当初から高い品質が認められたという。


 そして、現在はMEDIASTOREの全仕様リバースを経て、「5年後の書店インフラの整備」に向けた開発が進められている(図1)。



要求仕様に基づきオフショア先でXupper IIに設計情報を登録

 オフショアを含むビジュアルジャパンの新たな開発体制では、営業部や運用部、コールセンターからの要求を製品企画部が集約して要求仕様書にまとめ、開発部のチェックを経て、ベトナムのオフショア先に渡す流れとなっている。この要求仕様はすべて日本語で、ExcelやWordファイルで作成している。


 オフショア先では、まず要求仕様をベトナム語に翻訳。その内容に基づいて、Xupper II にビジネスフロー、ビジネスルール、GUIフォーム、ER図(エンティティ関連図)として登録していく。また、完成したソースコードや品質管理表は、開発用サーバに格納。日本側では、それらをチェックして承認または差し戻しを行えばよい(図2)。



 Xupper II の機能はフルに活用しているわけではなく、登録する内容も最低限必要な4 項目に絞っている。自動生成ツールとの連携などを行うには足らないかもしれないが、ある程度の仕様のとりまとめであれば、この4 項目で十分に対応可能だという。


 なお、Xupper IIのサーバも開発用サーバもすべて日本側にあり、ベトナムからはVPN でリモートアクセスして作業するかたちとなっている。 


日本語対応の壁がクリアできれば利用価値は高い

 ビジュアルジャパンのオフショア契約先は、ベトナムの有名国立大学出身の優秀な人材が多く、買掛管理モジュールの言語移植でも示されたとおり基礎的なスキルも高い。加えて、ほぼ日本企業の仕事を専門に請けている企業だったので、エラー率の基準や満足度調査など、日本流のシビアな品質管理が実施されていたという。


 また、R & D 契約(ラボチーム契約)と呼ばれる契約形態で、必要なスキルを指定してチームの雇用期間と人数を取り決めれば、あとは専任のプロジェクトマネージャが各スタッフの担当配分なども含めて実施してくれる。プロジェクトマネジメントのほかに翻訳費用も内包されており、翻訳するボリュームにかかわらず費用は定額なので、翻訳ドキュメントが多い場合にもコストを気にせずに依頼できるというメリットもあった。


 山田氏によれば、オフショア開発の委託先を選定する際に最終的にポイントとなるのは、やはり日本語への対応力だという。ドキュメントの翻訳とは別に、リアルタイムでスムーズに日本語で会話できる人は少なく、それに加えて技術的な話ができる人となるとさらに限られる。日本とベトナムの間のブリッジSE 的な役割を果たせる人材が確保できれば、ストレスのないコミュニケーションが可能となるだろう。


 最後にコストについては、ビジュアルジャパンの場合、日本の社員とすべてのコストを含めて比較すると、ベトナムのオフショア開発では3 分の1 程度に抑えられたという。やはり言葉の問題さえクリアできれば、かなり利用価値は高いのではないだろうか。


*翔泳社「EnterpriseZine」掲載記事からの転載


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